
【亀山市】塗装してはダメな屋根材!経年劣化で脆くなる屋根材リストと対処法【解説動画あり】
「そろそろ自宅の屋根もメンテナンスの時期かな…」
そう考えているあなた。ちょっと待ってください。もしかしたら、あなたの家の屋根は「塗装によるメンテナンスができない」、あるいは「塗装するとかえって寿命を縮めてしまう」屋根材かもしれません。
実は、特定の時期に製造・販売された屋根材の中には、塗装では解決できない深刻な問題を抱えているものがあるのです。
この記事では、創業24年、外壁・屋根塗装の専門家である「リペイント匠」が、プロの視点から「塗装が推奨されない屋根材」を具体的にリストアップし、その理由と正しい対処法を徹底的に解説します。
この記事を読めば、あなたの家の屋根が本当に塗装だけで大丈夫なのか、そして将来のトラブルを未然に防ぐための最適なメンテナンス方法が分かります。大切なマイホームを守るために、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
なぜ「塗装できない屋根材」が生まれたのか?その背景にあるアスベスト問題
「そもそも、なぜ塗装ができない屋根材なんてものが存在するの?」と疑問に思う方も多いでしょう。その背景には、建材業界における大きな転換期、すなわち「アスベスト(石綿)問題」が深く関わっています。
アスベストの役割と規制の歴史
1990年頃まで、スレート屋根材(コロニアル、カラーベストなど)には、強度を補強し、耐久性を高める目的でアスベストが含有されているのが一般的でした。アスベストは安価で加工しやすく、建材として非常に優れた性能を持っていたのです。
しかし、その後の研究で、アスベスト繊維を吸い込むことによる健康被害(中皮腫や肺がんなど)が深刻な社会問題となりました。これを受けて、日本では段階的にアスベストの使用が規制され、2006年にはアスベストを重量の0.1%を超えて含有する全ての製品の製造・使用が原則禁止されました。
ノンアスベスト屋根材への移行期に潜む課題
アスベスト規制の流れを受け、各建材メーカーはアスベストを使わない「ノンアスベスト屋根材」の開発を急ぎました。これが、1990年代後半から2000年代前半にかけてのことです。
しかし、この時期に開発された初期のノンアスベスト屋根材は、いわば「過渡期の製品」でした。アスベストに代わる代替繊維(パルプ繊維など)の配合や製造技術がまだ成熟しておらず、結果として耐久性に大きな課題を抱える製品が市場に出回ってしまったのです。
これらの屋根材は、数年から10数年という短い期間で、以下のような深刻な劣化症状を引き起こします。
- 素材自体の強度の低下:人が乗っただけで割れてしまうほど脆くなる。
- 層間剥離:屋根材がミルフィーユのように薄く剥がれてしまう。
- 無数のひび割れや欠け:素材の収縮や劣化により、表面に多数のクラックが発生する。
これらの症状は、塗装の膜で表面を覆っただけでは解決できません。むしろ、脆くなった下地の上から塗装をしても、塗膜ごと剥がれ落ちてしまい、まったく意味がないのです。
これが、「塗装してはダメな屋根材」が存在する理由です。
要注意!経年劣化で脆くなる屋根材【完全リスト】
それでは、具体的にどの屋根材が該当するのか、製品名、製造期間、代表的な症状を詳しく見ていきましょう。ご自宅の図面と照らし合わせながら、ぜひチェックしてみてください。
パミール(ニチハ)
■製造メーカー
ニチハ株式会社
■製造期間
1996年~2008年
■代表的な症状
ミルフィーユ状の層間剥離: 屋根材の表面が薄いパイ生地のように何層にもめくれ上がります。これはパミールの最も特徴的な劣化症状です。
■先端部分の崩れ
屋根材の先端(軒先側)からボロボロと崩れ落ちてきます。
■プロの視点
パミールは、塗装業界では「絶対に塗装してはいけない屋根材」の代表格として知られています。屋根材自体が内部から剥離してしまうため、どんなに高価な塗料を使っても、どんなに丁寧に塗装しても、塗膜が下地ごと剥がれてしまいます。高圧洗浄の水圧でさえ、劣化を助長する可能性があるほどデリケートです。もし業者から塗装を提案された場合、その業者は知識不足である可能性が非常に高いと言えます。
かわらU(クボタ、現ケイミュー)
■製造メーカー
株式会社クボタ(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
1990年~2007年
■代表的な症状
著しい強度の低下: 経年により非常に脆くなり、人が乗るだけで「パリン」と簡単に割れてしまいます。
■多数のひび割れや欠け
屋根材全体にクラックが発生し、少しの衝撃で欠けてしまいます。
■プロの視点
瓦のような波型の形状をしたスレート屋根材です。積水ハウスなどで多く採用されました。初期のノンアスベスト製品であるため、素材の脆さが深刻な問題となっています。塗装は可能ですが、素材自体の強度は回復しないため、根本的な解決にはなりません。高圧洗浄や職人の歩行でさえ、多数のひび割れを発生させるリスクを伴います。
レサス(松下電工、現ケイミュー)
■製造メーカー
松下電工株式会社(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
1999年~2006年9月
■代表的な症状
細かいひび割れ(ヘアクラック)
屋根材の欠け、破片の落下
■プロの視点
コロニアル系の平たいスレート屋根材です。こちらも素材の脆さが指摘されており、ひび割れや欠けが発生しやすい製品です。
アーバニーグラッサ(クボタ、現ケイミュー)
■製造メーカー
株式会社クボタ(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
2001年~2005年
■代表的な症状
屋根材のひび割れ、欠け
■塗装後の雨漏りリスク
塗装によって縁切りが困難になり、雨漏りを引き起こしやすい。
■プロの視点
デザイン性の高い屋根材ですが、メンテナンスには注意が必要です。この屋根材は小さな部材が複雑に組み合わさっており、塗装をすると部材間の隙間が塗料で埋まってしまいます。この隙間は雨水を排出するための重要な役割(縁切り)を果たしているため、塞がれると毛細管現象で雨漏りを引き起こすリスクが非常に高くなります。カッターで一枚一枚縁切りを行うのは現実的ではなく、塗装メンテナンスには全く向いていません。
ザルフ、ザルフグラッサ(クボタ、現ケイミュー)
■製造メーカー
株式会社クボタ(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
ザルフ (2001年~2006年)、ザルフグラッサ (2001年~2005年)
■代表的な症状
無数の細かいひび割れ(ヘアクラック): 屋根材の表面全体に、まるで毛のような細いひび割れが多数発生します。
■プロの視点
この屋根材も、表面の無数のクラックが特徴です。塗装で一時的に隠すことはできても、下地の動きに塗膜が追従できず、すぐに同じようなひび割れが再発してしまいます。
コロニアルNEO(クボタ、現ケイミュー)
■製造メーカー
株式会社クボタ(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
2001年~現在も販売中
■代表的な症状
ひび割れ、欠けが非常に多い
屋根材の反り
■プロの視点
現在も広く使われている「コロニアルシリーズ」ですが、特に2001年以降に製造された初期の「コロニアルNEO」は、ひび割れや欠けが多いことで知られています。アスベストが含まれていないため、以前の製品に比べて柔軟性が低く、割れやすい傾向があります。
グリシェイドNEO(クボタ、現ケイミュー)
■製造メーカー
株式会社クボタ(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
2001年~現在も販売中
■代表的な症状
コロニアルNEOと同様に、ひび割れが起きやすい。
■プロの視点
コロニアルNEOと同時期に開発された製品で、同様の劣化症状が見られます。
シルバス(松下電工、現ケイミュー)
■製造メーカー
松下電工株式会社(現:ケイミュー株式会社)
■製造期間
2001年~2003年
■代表的な症状
ひび割れ、欠けが多い。
■プロの視点
アーバニーグラッサに似たデザインで、同様に素材が脆く、割れやすい特徴があります。
自宅の屋根材が該当していたら?プロが教える正しい判断と対処法
もし、ご自宅の屋根が上記のリストに当てはまった場合、どうすれば良いのでしょうか。ここでは、専門家として推奨する判断基準と具体的な対処法について解説します。
まずは「図面」で確認を!
一番確実で最初に行うべきことは、家を新築した際の「設計図面」や「仕様書」を確認することです。多くの場合、仕上げ表などの書類に「屋根材:〇〇(製品名)」といった記載があります。
この製品名と上記のリストを照らし合わせることで、客観的な事実を確認できます。口頭での説明や見た目だけでの判断は間違いの元ですので、まずは書類を確認しましょう。
なぜ「塗装」ではダメなのかを再認識する
重要なのは、これらの問題が「塗装業者の施工不良」ではなく、「屋根材自体の製品的な問題」であるという点です。どんなに腕の良い職人が、どんなに高価な塗料を使っても、下地である屋根材そのものが劣化しているため、長持ちさせることは不可能です。
無理に塗装をしても、数年で塗膜が剥がれたり、割れが再発したりする可能性が非常に高く、結果的に「安物買いの銭失い」になってしまいます。
最適なメンテナンス方法は「カバー工法」または「葺き替え」
塗装が適さないこれらの屋根材には、以下の2つのメンテナンス方法が推奨されます。
①屋根カバー工法(重ね葺き)
既存の屋根材を撤去せず、その上から新しい防水シート(ルーフィング)と軽い金属屋根材などを被せる工法です。
- メリット: 廃材が少なく、工期が短く、費用を抑えられる。
- デメリット: 屋根の重量が少し増す。下地の劣化が激しい場合は施工できない。
②屋根葺き替え工法
既存の屋根材をすべて撤去し、下地である野地板の状態を確認・補修した上で、新しい防水シートと屋根材を施工する工法です。
- メリット: 屋根の根本的な問題を解決できる。耐震性の向上も期待できる。
- デメリット: 費用が高く、工期も長くなる。
どちらの工法が適しているかは、屋根の下地の状態によって異なります。これは専門家でなければ判断が難しいため、必ず信頼できる業者に点検を依頼しましょう。
業者選びの重要性
これらの屋根材に関する知識は、すべての塗装業者が持っているわけではありません。残念ながら、知識のないまま安易に塗装を勧めてくる業者も存在します。
業者を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 問題の屋根材について、正確な知識を持っているか。
- 塗装以外の選択肢(カバー工法や葺き替え)を具体的に提案してくれるか。
- なぜ塗装がダメなのか、その理由をきちんと説明してくれるか。
「大丈夫です、保証も付けますから」という言葉だけで判断せず、その根拠をしっかりと確認することが、後悔しないリフォームの鍵となります。
まとめ~亀山市の外壁塗装・屋根塗装のことなら
今回は、経年劣化で脆くなり、塗装でのメンテナンスが推奨されない屋根材について詳しく解説しました。
ご自宅の屋根がこれらの製品に該当する可能性がある場合は、安易に塗装を選択せず、まずは新築時の図面を確認し、信頼できる専門業者に相談することをお勧めします。
正しい知識を持つことが、無駄な出費を避け、大切なマイホームを長く守るための第一歩です。この記事が、あなたの屋根リフォームの助けとなれば幸いです。
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